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その1から3まで揃います) ヘルシンキにいったというと、 「はぁ?」 と言われたというのはその1かなんかで話した気がするけれど、 その続きの言葉も大概一緒で 「ヘルシンキって、なにがあるの?なにしにいったの?」 なにがあるかは、観光ガイドをみれば なんとか大聖堂やらなんとか公園があることは調べてもらえばわかるけど。 なにしにいったか。 非常にいい質問。 結果的には、 美術館とカフェと本屋を渡り歩いて郵便局へ日参し、 たっぷりの紅茶(アールグレイとか、ダージリンとか)とともに すきなところに手紙を送って、 最後は涙の別れをしに、ヘルシンキへいった、ということになる。 ほんとうにそれを望んで行ったかどうか つまり、もとの目的はほんとにそこだったのかは自分でもわからない。 今思えば思うほど、あの一週間がなんだったんだかよくわからない。 とにかく、みわたすトーロ湾の景色が美しくて、 夕焼けのそれよりも 朝のそれのほうが格別に幻想的だった。 朝のレストランには 各国のビジネスマンを満足させるため揃えられた 6種類くらいのシリアル(猫のエサみたいなかたちのもあった)があって そして本当に各国のビジネスマンは そのたいして変わらない(ようにみえる)シリアルを吟味して オレンジジュースをぐびぐび飲んでいた。 朝ごはんの中で一番すきだったのは、 しっかりと焼かれたスクランブルエッグで 口の中でほろほろしてとても美味しかった。 最後のほうは風邪をひいたので弱気になったけど あんまり日本に帰りたいとも思わなかったし よく聞くような「日本のよさがわかった」みたいな感覚もなかった。 ただたんに、 ほんとに気ままにやっていただけである。 あたかもその辺にくらしてるんですよ、みたいな顔をして。 あ、でも5日目かなんかに スペイン製の靴を衝動買いしたのはすごく観光客っぽかったと思う。 靴はスペイン革とかたく決心している。 ヘルシンキの女は靴を試しにはいて合わなければ すぐべつのものを試す。それはもうすごい勢いなのだ。 納得のいくものがくるまで、 10足でも15足でも試し、自分の周りに並べていくのである。 選ばれた一足はそれはそれは長く使われるだろう。 わたしが買った一足は、 せっけんのようないいにおいがする。 それが今でもするのだから不思議だ。 なんなのかよくわからないが、 歩いていてもほのかに香ってたちまちにうれしくなる。 ヘルシンキからもちかえったものは 証拠品みたいにひとつの袋に総まとめにしていて きのうちょっとひろげたら、無性に帰りたくなって驚いた。 あんなに何もしなかったのに すごく帰りたいのだ。 あのホテルで、あのトーロ湾を見て、ほろほろエッグを食べ 各国のビジネスマンを見送りたい。 もし帰るときは、衝動買いしたあの靴を履いていこう。 |
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しょっちゅうスケジュール帳を開く。 色分けとかしてみる。 予定を書き込んで、実行したらマルをつける。 未来を予定でいっぱいにできるようにではなくて、 いままでの自分をあとでたしかめられるようにだ。 たとえば七月なにしてた? ときかれたら、わたしは絵を描いてたくらいのことしか思い出さない。 でもスケジュール帳は思い出してくれる。 親友と食事をして、 個展用の撮影をして、 名刺交換会にも参加していたこと。 よくみるとTOEICもうけている。 ああ、なんだかんだみちたりてたんじゃないかと、 安堵することができるのだ。 そんなわたしが、8月 スケジュール帳に書き込むこと自体を忘れた。 なにをしてたのかもう二度と思い出せない。 |
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