すきだったもの
小学生のとき
わたしはなにがすきだったんだろう。
 
物事を思い出しても
すきだったかどうか覚えていない。
 
やっぱり絵はすきだった。
 
男の子かなにかに絵をとられるかやぶられるかして
なみだがじんわりしてきて、
普段ほとんどしゃべったことのない運動の得意な女の子がきて、
その子に
「同じ絵は二度と描けないんだ」と
泣きじゃくりながら力説した。
その子はなだめてくれて、職員室に連れて行ってくれたけど
職員室なんかなんの役に立つんだと冷静に思っていた。
 
そういえば職員室のドアは、
なにか器具がついてて自動的にしずかにしまるようになっていた。
あれはすきだった。
 
 
すきだった男の子の誕生日はなぜか今でも思い出す。 
 
彼の家でやったクリスマスパーティー、
はじめて飲んだ子供用シャンパン。
 
 
ほかにすきだったことは、
なんだったっけ。
 
というか、高校のときすきだったものも実は覚えていない。
 
はては、一年前なにがすきだったか覚えていない。
 
 
今好きなものは、
手元にある自分の名刺。
手書きでつけた水彩のにじみがたまらなく善い。
 
私のつけ方が善いのではなく、
水彩側のにじみに能動性を感じられて、たまらなく善い。
 
 
でもきっと、明日には明日の好きなものを見つけるんだろう。
【2007/07/23 23:20】 | 思いこぼれ | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
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