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小学生のとき
わたしはなにがすきだったんだろう。 物事を思い出しても すきだったかどうか覚えていない。 やっぱり絵はすきだった。 男の子かなにかに絵をとられるかやぶられるかして なみだがじんわりしてきて、 普段ほとんどしゃべったことのない運動の得意な女の子がきて、 その子に 「同じ絵は二度と描けないんだ」と 泣きじゃくりながら力説した。 その子はなだめてくれて、職員室に連れて行ってくれたけど 職員室なんかなんの役に立つんだと冷静に思っていた。 そういえば職員室のドアは、 なにか器具がついてて自動的にしずかにしまるようになっていた。 あれはすきだった。 すきだった男の子の誕生日はなぜか今でも思い出す。 彼の家でやったクリスマスパーティー、 はじめて飲んだ子供用シャンパン。 ほかにすきだったことは、 なんだったっけ。 というか、高校のときすきだったものも実は覚えていない。 はては、一年前なにがすきだったか覚えていない。 今好きなものは、 手元にある自分の名刺。 手書きでつけた水彩のにじみがたまらなく善い。 私のつけ方が善いのではなく、 水彩側のにじみに能動性を感じられて、たまらなく善い。 でもきっと、明日には明日の好きなものを見つけるんだろう。 |
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